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国が敗訴!相続税と所得税の二重課税

 国が敗訴!相続税と所得税の二重課税

  2010年7月6日、最高裁判所が画期的な判決を言い渡しました。

 判決の概要

 亡夫が加入していた年金払い型の生命保険に相続税と所得税の両方を課すのは違法として、長崎市の女性(49)が所得税の課税処分取り消しを求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)は6日、「違法な二重課税に当たる」との初判断を示し、原告の請求を認める判決を言い渡した。

~2010年7月6日 毎日JP~


 国の対応

 野田佳彦財務相は7日、相続税の対象になった生命保険金の年金部分に所得税も課すのは「二重課税」と判断した最高裁判決を受け、徴収した所得税について「時効の壁」を超えて返還に応じる考えを明らかにした。

 税法上、国が返還に応じられるのは5年前(2005年)分までだが、時効となった04年以前の分も返還する方針を示したものだ。
 
 ・・・(略)・・・野田氏は「これまでの(税法の)解釈を変更することになる」と説明した。

 時効とされてきた5年前を超える分については、「法律か政令かわからないが、検討した上で改正手続きを取る。救済は必要で、関係者に迷惑をかけないように対応したい」と述べた。

 ・・・・・(略)・・・・・
 年金部分に相続税と所得税を課すことは、1960年代には定着していたとされ、同種の保険契約は数百万件に達するとみられている。

 野田氏は返還金額の規模について「返還件数がわからず、金額を言える段階ではない」と説明。

 生命保険会社にも協力を求め、どこまでさかのぼって返還できるのかを含め今後検討する方針を示した。

2010年7月7日20時50分 朝日新聞


 K君とJ爺の解説

  • K君 : 少し難しいですね。
  • J爺 : 生命保険には、(イ)死亡と同時に遺族が一括して受け取る「一括払い型」と(ロ)遺族が何年にも分けて受け取る「年金払い型」があるんじゃ。
  • K君 : 契約のときに受取る方法を選択できるということですね。
  • J爺 : (イ)「一括払い型」の場合には、相続税の対象にしかならないんじゃが、(ロ)「年金払い型」の場合には二つの税金、つまり相続税と所得税の対象になるんじゃ。
  • K君 : 契約の仕方によって税金が違ってくるということですか、それは変ですね。
  • J爺 : ところが、「年金払い型」の場合には相続税と所得税、両方の課税が当たり前じゃったんじゃ。

 <年金払い型の課税の考え方(従来)>

区分従来の考え方税金
①相続があったとき遺族が年金を受ける権利(年金受給権)を取得した相続税
②年金を受け取るとき年金という収入(所得)があった所得税


  • K君 : 相続のときの考え方がわかりにくいですね。
    まだ年金を受け取っていなくても、将来の年金を受け取る権利(年金受給権)を手にいれたと考えて相続税の対象になっていたということですか。
  • J爺 : 国税側は「権利と実際にもらった年金は違うもの」という考え方で、相続税と所得税の両方を課税していたんじゃが、最高裁は「その考え方はまちごうとる」、権利と実際にもらったものは同じものなので「違法な二重課税にあたる」と判断したんじゃ。
  • K君 : なるほど!「二重課税」の意味がわかりました。
  • J爺 : 野田財務大臣が「過去に遡って税金を還付する。」と言っとるが、件数が莫大じゃろうから、大変じゃろうな。

 年金払い型生命保険とは

 保険料を負担した被保険者が死亡した場合に、遺族が保険金を受け取る死亡保険のうち、遺族が年金払いの受給方式を選べる特約を付けた保険商品のことです。

 一括払いの受給を選択した場合、受給総額が減る代わりに所得税が課されないため、税務上の不公平を指摘する声がありました。

 国民年金や厚生年金など国が給付する「公的年金」の受給権を遺族が取得した場合は、相続税も所得税も課されないため、今回のような問題は生じません。


 時効の壁とは

 税務署長は申告書を訂正(「更正」といいます。)することができる

 税務署長は、申告書が法律の規定に従っていなかったときは、その申告書を訂正処分(更正)することができます。

 税務署長は、納税申告書の提出があつた場合において、その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかったとき、その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときは、その調査により、当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する。(国税通則法第24条)


 ただし、更正処分には期間制限があります

 国税の法律関係において、国の行使できる権利をいつまでも無制限に認めていては、納税者の法的安定が得られないばかりか、国税の画一的な執行も難しいという理由で、期間制限が設けられています。

 <納付すべき税額を減少させることができる期間>
 その更正に係る国税の法定申告期限から五年を経過する日まで、することができる。(国税通則法第70条②項)

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