広島県廿日市市の税理士です。税務調査、法人税、消費税、相続税、相続対策・事業承継、節税対策、保険の活用

鳩山首相の偽装献金問題と贈与税

 鳩山首相の偽装献金問題と贈与税

(平成21年12月4日)

 贈与だとしたらいくらの贈与税?

 鳩山首相の偽装献金問題が、いつの間にか議論が贈与税の問題に移ってしまいました。

 贈与税は年額で1,000万円を超えると税率が50%になります。月額1,500万円と報道されていますから、1年間に1.8億円の金が動いていることになります。

 仮に、その全額が贈与だとすればいくらの贈与税を支払うことになるのか計算してみましょう。

贈与を受けた額税率控除額計算式贈与税額
  1.8億円50%225万円1.8億円×50%-225万円8,775万円

  
 これだけの税額ですから、話題になるのもわかりますね。

 記事を紹介します

 問題の所在を的確にとらえた良い記事がありましたので紹介します。

鳩山首相への11億は貸付?贈与?国税どう判断

12月2日14時37分配信 読売新聞

貸付金か贈与か――。

 鳩山首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の偽装献金問題に絡み、実母から鳩山首相側への多額の資金提供について、国税当局がどう判断するか注目されている。

 全額贈与と認定されれば、首相に4億円を超える納税義務が発生するためだ。借用書がないことなどから、専門家の間では贈与になるとの見方が多いが、民法に基づけば口約束だけでも貸付金になる(注1)。
 首相を巡る問題だけに、今後の納税者の申告に影響を与える可能性もある。

 実母からの資金提供は、2002年頃から始まり、6年余で総額11億円以上に上っていることが既に判明。元秘書らは「母から鳩山首相への貸付金」と認識していたというが、借用書や返済の取り決めはなかった。
 所得を隠すなどの不正がない場合、徴収可能な贈与税は過去6年分(注2)。04~08年の資金提供計9億円に限っても、贈与認定されると4億円以上の納税が必要となる(注3)。

 「首相の問題だけに、国税当局も慎重な対応を迫られるだろう」と話す国税OBの税理士。親子間の貸付金を贈与と認定されないために「きちんと契約を結び、利息を取る必要がある」と見る。別の税理士も「契約書類も利息もない状況で、貸付金と主張するのは難しいのでは」と同様の見方だ(注4)。

 一方、民法では貸付金について「返還の約束」だけを定めていることを根拠に、「返済条件や利息が必要だとは法律に書いていない。国税当局が認定しているだけ」として、安易な贈与認定に否定的な税理士もいる。

 国税庁は、民法上の貸付金を判断する際、〈1〉提供の理由や経緯〈2〉利息など返済金の有無〈3〉返済期限や返済方法など取り決めの内容――などを確認している。

 同庁のホームページでは親子間の貸付金について、「『ある時払いの催促なし』または『出世払い』というような貸借の場合には、借入金そのものが贈与として取り扱われる」と注意喚起しているが、理論上は口約束でも貸付金になりうることもあるため、同庁は「一律に判断することはできない」とし、個々の事例ごとに判断しているのが実態だ。

 親族間の貸付金を贈与と認定されたことを巡り、裁判に発展した例もある。04年の名古屋高裁判決は、「贈与税の課税は実質に着目するべきで、利益と同等の価値が将来返還されることが極めて確実であるなど、特別な事情がない限り贈与と認めるのが相当」と判断している。

 鳩山首相は11月30日の参院本会議で「検察の解明を待って、法に照らして適切な対応を行いたい」と答弁、修正申告を示唆している。


 記事の解説


記事(注1)
 借用書がないことなどから、専門家の間では贈与になるとの見方が多いが、民法に基づけば口約束だけでも貸付金になる。
解説 口約束であっても「契約」は可能です。
一般的に書面での契約を言われているのは、当事者間で争いになったとき、口約束では契約内容が(裁判所などに)証明できないためです。
 当事者間に争いが起こらないのであれば、口頭契約でもいいということです。

 これを税金の世界にあてはめると、贈与と(税務署が)認定するためには、口約束であっても「貸付契約はなかった」又は「(相当に高い確率で)貸付契約はなかったはずだ」という証明をしなければ課税できない可能性もあります。親子間での口約束ですから、口裏を合わせることも比較的易しく、反面、課税の難しさがあります。

 記事はこの点を指摘しています。


記事(注2)
 所得を隠すなどの不正がない場合、徴収可能な贈与税は過去6年分。
解説 税務申告に誤りがあった場合に、過去何年分の申告をしなければならないかということです。

 贈与税の場合には、①所得を隠すなどの不正行為があった場合と②そうでない場合で、遡って申告書を提出又は修正する年数が異なっています。
 ①不正行為があった場合は、7年間
遡ります。 ②不正行為がなかった場合は、6年間遡ります。


記事(注3)
 04~08年の資金提供計9億円に限っても、贈与認定されると4億円以上の納税が必要となる。
解説 上記(注2)で「過去6年分」と言っているのに、ここでは、04~08年の5年間になっています。変だと思いませんか。

 平成15年に税制改正があって、過去に遡る年数が6年に延長されています。
 このため、6年の遡及は平成16年分から適用されることになっています(04年=平成16年)。 5年×約8,775万円(1年分の贈与税額)=4億3,875万円(推計)
 平成15年分は、不正行為があったという認定がされなければ課税されません。


記事(注4)
 親子間の貸付金を贈与と認定されないために「きちんと契約を結び、利息を取る必要がある」。別の税理士も「契約書類も利息もない状況で、貸付金と主張するのは難しいのでは」と同様の見方だ。
解説 契約を結び利息をとることが、税務署から贈与と認定されない大切なポイントです。

 「契約書類も利息もない状況で、貸付金と主張するのは難しい。」という考え方も常識的な判断ですが、納税者があくまで「貸付金」だと主張した場合に、税務署はその全てが課税できるのかどうか・・・難しい問題もあります。

powered by Quick Homepage Maker 4.81
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional